日々と戯言とそこの片隅

鶴見義龍のしょうもない日常

ray.0

騒いだままの幻と

夢の先をただ、眺めている

言葉だけはまだ容易く

静かに息をする

 

逃げ遅れているのは

きっと僕らだけではないんだろ

雲の上をまたカモメが飛んでいく

 

街を見下ろして次の行き先を思い出す

草臥れてしまったせいだろ

陽はまた昇り、僕を映した

 

通り抜けて行け

錆びることがないように

誰かの手が足を引っ張って転んで傷んでも

風はまだ吹いている

虹がまた照らすなら

あの日話した言葉を思い出していておくれよ

 

冷たくなったのは誰のせいでもない

この部屋に立ち込める空気を1度だけ吸い込む

 

朱色の輪郭で突き刺さった

部屋の片隅の白い花

あの頃はどれだけ優しかっただろう

 

鍵をまた無くしたのは

他でもない僕なんだろう

夢の足跡ばかりが顔に当たって軋むのさ

傘を差したまま歩いて

泣くのをまたごまかすのは

何かをまだ捨てきれないからだろう。

抱き締めておくれよ

 

通り抜けて行け

錆びることがないように

誰かの手が足を引っ張って転んで傷んでも

傘を差したまま歩いて

雨が止んだのを誤魔化すのは

あの日渡すはずの花束を渡したいためだろう

 

通り抜けたのは誰の悲しみか

通り抜けるのは誰の喜びか