増5度は兎にも角にも恨みで出来ている
もしも、まだもしも笑えるのならば
海に投げた音を拾いに行かないか。
明日にはすべて忘れてしまう消しゴムを抱える。
涙で前が見えなくなったのは
旅支度の度に残り香がチラチラするからで
ラジオから流れる言葉の塊に貫かれた
俺をまだ、誰かが笑う。クタクタに冷えたまま
落ち葉にしがみつく思い出が
やけに静かなテーブルに音を立てて
灯火を消してしまうから。消してしまうから
もう一度繋がないか。手と手を。解けぬ様に
疎かな夢の続きをグラスに入れたまま
戻らぬ愛について
つまらない言葉で
手詰まりの言葉で
無くしてしまった
いつか見た夢の話をしないか